巻積雲
上空高くに現れる白い小さな斑点や鱗状の雲。うろこ雲やいわし雲とも呼ばれる。

- 分類
- 巻積雲属(Cirrocumulus)
- 分布
- 世界中の高層域
- 高度帯
- 高層(5,000〜15,000m)
- 外観の特徴
- 白い小さな斑点や鱗状の群れ
- 降水の有無
- ほとんど降水なし
解説Overview
巻積雲は、上空およそ5,000メートルから15,000メートルの高層に現れる雲である。国際雲図帳では基本雲形の一つである巻積雲属(Cirrocumulus)に分類される。略号はCc。
巻積雲の特徴は、白く小さな斑点や鱗状の形が群れて広がる点にある。一つ一つの粒は小さく、雲の塊の間に青空が見えることが多い。この見た目から、日本では「うろこ雲」「いわし雲」「さば雲」などと呼ばれる。いずれも魚の鱗や群れに見立てた名前である。
発生は、高層の薄い雲が波状に変化することで起こる。上層の大気が不安定なとき、氷晶からなる雲が細かく分裂してできる。巻積雲は主に氷晶で構成され、降水はほとんどない。地上に雨や雪を降らせることは稀である。
日本では古くから、巻積雲を見ると天気が下り坂になると言われることがある。これは、巻積雲の発生が低気圧や前線の接近に先行する場合があるためだ。ただし、必ずしも雨が降るわけではなく、天気が良いまま推移することも多い。
季節としては、秋に多く見られる。秋の空は高く澄み、巻積雲が美しく浮かぶ。このため「秋の雲」の代表として親しまれる。現代では、気象庁の観測資料や天気予報で「巻積雲」として扱われ、写真と共に紹介される。教育現場では、雲の分類を学ぶ際の具体例として用いられることがある。
巻積雲と似た雲に高積雲がある。高積雲はより低い高度に現れ、粒が大きく影ができることが多い。巻積雲は影がほとんどなく、粒が細かい点で区別される。また、巻雲や巻層雲と混同されることもあるが、巻雲はもっと薄く糸状であり、巻層雲は空全体を覆うベール状である。
伝承・史料Lore
うろこ雲の言い伝え: 昔から「うろこ雲が出ると雨が近い」と言われる。これは巻積雲が低気圧の接近に伴って現れることがあるためで、漁師や農家が天気の目安にした。
秋の季語: 俳句では「うろこ雲」「いわし雲」は秋の季語として扱われる。空の高さと雲の形から、秋の訪れを感じる風物として詠まれてきた。
観測記録: 気象庁の観測資料には、巻積雲の写真と共に、その形状や高度が記録されている。古い観測ノートには手書きのスケッチが残ることもある。
出典・参考文献References
- 『International Cloud Atlas』 World Meteorological Organization (WMO) 2017 — WMO 国際雲図帳 該当雲属(cirrocumulus)(2026-09-19)
- 『雲のカタログ』 村井昭夫・鵜山義晃(草思社) 2011 — 空がわかる全種分類図鑑。全雲形の写真と分類
- 『雲を愛する技術』 荒木健太郎(光文社) 2017 — 雲の生成と見分け方
- 『一般気象学』 小倉義光(東京大学出版会) 1999 — 第2版。雲と降水の物理
- 『予報用語(気象庁)』 気象庁 — 気象庁 予報用語 目次(雲・天気の用語)(2026-09-19)
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よくある質問FAQ
巻積雲は雨を降らせますか?
巻積雲自体はほとんど降水をもたらしません。ただし、低気圧の接近に伴って現れることがあり、その後天気が崩れる場合があります。
巻積雲とうろこ雲は同じですか?
同じです。巻積雲の外観が魚の鱗に似ているため、日本では「うろこ雲」とも呼ばれます。
巻積雲はどの季節に見られますか?
秋に多く見られますが、他の季節にも現れることがあります。
最終更新: · 編集: そらのなまえ 編集室