毛状雲
毛状雲は巻雲の一種で、細かい毛のような繊維状の外観を持ち、上空の強い風で流される。

- 分類
- 巻雲(Cirrus)の一種、種:毛状雲(fibratus)
- 分布
- 世界中の上空、特に中緯度から高緯度でよく見られる
解説Overview
毛状雲(もうじょううん、Cirrus fibratus)は、巻雲(けんうん)の種の一つで、国際雲図帳では「fibratus」という種に分類される。その名前はラテン語の「fibra(繊維)」に由来し、雲が細長い繊維状や毛髪状の構造を持つことを表す。日本では、その形状から「毛状雲」と呼ばれるほか、俗に「すじ雲」や「はけ雲」とも称されることがある。
毛状雲は、主に高度6,000メートル以上の上空、対流圏上部から成層圏下部にかけて発生する。構成するのは氷晶であり、気温が非常に低いため、水滴ではなく氷の結晶から成る。外観は、まっすぐかやや湾曲した細い線が集まり、全体として羽毛や馬のしっぽのような形を成すことが多い。雲の端はほつれたように見え、明確な輪郭を持たない。
この雲は、上空の強い風によって流され、長く伸びることが特徴である。風が強いほど、繊維状の構造が引き延ばされ、時には地平線を越えて広がることもある。毛状雲自体は降水を伴わないが、その出現は天気の変化を示唆することがある。例えば、毛状雲が次第に厚みを増し、巻層雲や巻積雲へと変化する場合、温暖前線の接近に伴うことが多く、数時間から半日後に雨が降る可能性がある。
季節を問わず観測されるが、特に秋から冬にかけて、日本では「うろこ雲」や「ひつじ雲」とともに高い空に見られることが多い。近年では、気象衛星やレーダーによる観測が進み、毛状雲の発生メカニズムの解明が進んでいる。また、飛行機雲が毛状雲と誤認されることもあるが、飛行機雲は人工的に生成される点で区別される。
この雲は、古くから天気の指標として人々に親しまれてきた。日本では「ひつじ雲」や「うろこ雲」と並び、秋の季語としても知られる。現代では、気象庁の雲の観測分類に基づき、雲を愛でる文化や写真撮影の対象としても注目されている。
伝承・史料Lore
古来の天気占い: 毛状雲が空に広がるのを見て、人々は「明日は雨」と予想した。毛状雲が増えて厚くなると、低気圧や前線の接近を示すことが経験的に知られていた。 文学と芸術: 日本の俳句では、毛状雲は「すじ雲」として秋の季語に分類され、多くの句に詠まれた。また、浮世絵や日本画では、空の表現としてしばしば描かれた。 観測の歴史: 20世紀初頭、国際雲図帳の前身である雲の分類が整備される過程で、毛状雲は巻雲の代表的な種として記録された。
出典・参考文献References
- 『International Cloud Atlas』 World Meteorological Organization (WMO) 2017 — WMO 国際雲図帳 該当雲属(cirrus)(2026-09-19)
- 『雲のカタログ』 村井昭夫・鵜山義晃(草思社) 2011 — 空がわかる全種分類図鑑。全雲形の写真と分類
- 『雲を愛する技術』 荒木健太郎(光文社) 2017 — 雲の生成と見分け方
- 『一般気象学』 小倉義光(東京大学出版会) 1999 — 第2版。雲と降水の物理
- 『予報用語(気象庁)』 気象庁 — 気象庁 予報用語 目次(雲・天気の用語)(2026-09-19)
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よくある質問FAQ
毛状雲とは何ですか?
毛状雲は巻雲の一種で、細かい毛のような繊維状の外観を持つ雲です。高度6,000メートル以上の上空に発生し、氷晶で構成されています。
毛状雲はどのように見分けますか?
毛状雲は、空に細い線が集まったような、ほつれた毛のような形をしています。端が不明瞭で、風に流されて長く伸びるのが特徴です。
毛状雲が出ると天気はどうなりますか?
毛状雲自体は降水を伴いませんが、雲が厚みを増して巻層雲や巻積雲に変化すると、温暖前線の接近を示し、数時間から半日後に雨が降ることがあります。
最終更新: · 編集: そらのなまえ 編集室