層雲
層雲は空全体を一様に覆う低層の雲で、霧と似た外観を持ち、通常降水をもたらさない。

- 分類
- 低層雲
- 分布
- 全球
解説Overview
層雲は、空を一様に覆う低い雲である。国際雲図帳では十種の雲属の一つに数えられ、略号はStで表される。その名はラテン語のstratus(層をなす)に由来し、水平に広がる性質をよく示している。
層雲は主に地表付近から数百メートルの高さに現れ、霧と本質的に同じものである。ただし、霧が地表に接しているのに対し、層雲は地上から離れた位置に浮かんでいる点が異なる。そのため、山の斜面では霧が層雲として見えることもある。
外観は灰色がかった一様な層で、雲底は比較的平らである。太陽や月は層雲を通して見えることがあるが、その輪郭はぼやけ、ときに全く見えなくなることもある。雲粒は小さく、乱流によって混ざり合っているため、はっきりとした雲の縁はない。
層雲は、安定した大気中で放射冷却や移流によって形成されることが多い。たとえば、夜間に地表が冷え、空気中の水蒸気が凝結してできる場合や、暖かく湿った空気が冷たい地表の上を移動する場合である。また、弱い上昇気流によっても生じることがあるが、積雲のような対流雲とは異なり、鉛直方向の発達はほとんどない。
降水は通常もたらさないが、ときに霧雨を降らせることがある。これは層雲内の雲粒が併合して、ごく小さな水滴として落下するためである。降水がある場合でも、その強度は弱く、傘を必要としない程度であることが多い。
層雲は、しばしば層積雲や高層雲と混同される。層積雲は層雲よりも厚く、雲底に起伏があり、個々の雲の塊が識別できることが多い。高層雲はより高い高度に現れ、太陽や月を覆う際に暈を生じることがある。層雲はこれらの雲と異なり、より低く、一様で、薄暗い印象を与える。
層雲は、その形成過程や消滅過程を通じて、大気の安定度や湿度を反映する。観測者にとっては、天気の変化を予測する手がかりとなることもある。例えば、層雲が次第に持ち上げられて高層雲に変わる場合、温暖前線の接近を示唆することがある。
日本では、層雲は「そううん」と読まれ、気象庁の観測分類でも用いられている。古くから親しまれてきた雲であり、その地味な外観から特別視されることは少ないが、気象学においては重要な役割を果たす。
近年では、人工衛星や地上観測によって、層雲の分布や特性が詳細に調べられている。特に海洋上の層雲は、地球の放射収支に影響を与えるため、気候モデルにおいて重要な要素となっている。今後も、その変動が気候に与える影響について研究が続けられるであろう。
伝承・史料Lore
国際雲図帳における記載: 層雲は、1802年にイギリスの気象学者ルーク・ハワードによって提唱された雲の分類の一つに含まれる。彼はラテン語を用いて雲を分類し、stratusは「層をなす」という意味で、水平に広がる雲を指した。 日本の気象観測: 気象庁の『雲の観測と分類』では、層雲は低層雲に分類され、その特徴や観測方法が詳細に記述されている。 地域による呼称: 日本では、層雲は「そううん」と呼ばれるが、地域によっては「霧雲」や「曇り雲」などと呼ばれることもある。
出典・参考文献References
- 『International Cloud Atlas』 World Meteorological Organization (WMO) 2017 — WMO 国際雲図帳 該当雲属(stratus)(2026-09-19)
- 『雲のカタログ』 村井昭夫・鵜山義晃(草思社) 2011 — 空がわかる全種分類図鑑。全雲形の写真と分類
- 『雲を愛する技術』 荒木健太郎(光文社) 2017 — 雲の生成と見分け方
- 『一般気象学』 小倉義光(東京大学出版会) 1999 — 第2版。雲と降水の物理
- 『予報用語(気象庁)』 気象庁 — 気象庁 予報用語 目次(雲・天気の用語)(2026-09-19)
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よくある質問FAQ
層雲と霧の違いは何ですか?
層雲と霧は同じ雲粒からなりますが、霧は地表に接しているのに対し、層雲は地上から離れた位置に浮かんでいます。
層雲は雨を降らせますか?
層雲は通常、降水をもたらしませんが、ときに弱い霧雨を降らせることがあります。
層雲の略号は何ですか?
層雲の略号はStです。
最終更新: · 編集: そらのなまえ 編集室