漏斗雲
積乱雲や発達した積雲の底部から漏斗状に垂れ下がる雲。地上に達すると竜巻と呼ばれる。

- 分類
- 積乱雲に伴う付随雲
- 分布
- 世界中で観測される
解説Overview
漏斗雲とは、積乱雲や発達した積雲の雲底から、漏斗(ろうと)状または円錐形に垂れ下がって見える雲のことを指す。気象庁の定義では、雲底から垂れ下がる漏斗状の雲で、地上に達すると竜巻となる。漏斗雲自体は雲の一種であり、回転する上昇気流によって形成される。
漏斗雲が発生するのは、積乱雲の内部で強い上昇気流と下降気流が隣り合って存在するときである。これらの気流の境界に生じる水平方向の渦(鉛直渦度)が、上昇気流によって引き伸ばされ、回転速度が増す。気圧が低下した渦の中心部では空気が断熱膨張して冷却され、水蒸気が凝結して雲滴となる。これが漏斗雲として可視化される。漏斗雲が地上に達すると、地上付近の空気を巻き込みながら強い旋風を生じ、竜巻となる。
漏斗雲の形状は、初期段階では雲底から短く垂れ下がる程度であるが、発達すると細長い円錐形やロープ状になる。多くの場合、寿命は短く、数分から数十分で消滅する。ただし、親雲である積乱雲が持続する間は、繰り返し発生することもある。漏斗雲の色は、周囲の雲と同じく白色から灰色であることが多いが、土壌や砂埃を巻き上げると茶色や黒っぽく見えることもある。
漏斗雲という用語は、気象学では「ろうとうん」と読み、英語ではfunnel cloudという。日本語の「竜巻」は地上に達した現象を指し、「漏斗雲」はまだ地上に達していない、あるいは達しない状態の雲を指す。この区別は、気象庁の観測指針や予報用語において明確にされている。
漏斗雲は、世界各地で観測される。日本では、積乱雲が発達しやすい夏期に、内陸部や海岸付近で発生することがある。また、寒冷前線や台風の周辺でも見られる。観測の際には、雲底から垂れ下がる特徴的な形状と、回転の有無を確認することが重要である。漏斗雲が確認された場合、それが竜巻に発達する可能性があるため、注意が必要である。
近年では、気象レーダーやドップラー・レーダーによって、漏斗雲を伴う積乱雲の内部構造が詳細に解析されている。また、アマチュアの気象観測者や写真家による漏斗雲の記録も増えており、ソーシャルメディアを通じて情報が共有されることも多い。ただし、漏斗雲の観測には安全の確保が最優先であり、接近しての観察は避けるべきである。
伝承・史料Lore
記録: 日本では、昭和期の気象庁観測資料に漏斗雲の記載が見られる。特に、1950年代から1960年代にかけて、各地の気象台が竜巻や漏斗雲の報告をまとめている。
呼称の地域差: 地域によっては、漏斗雲や竜巻を「つむじ風」や「たつまき」と呼ぶことがあるが、気象学的には区別される。
海外の逸話: アメリカ合衆国では、漏斗雲が地上に達する前に観測されることが多く、竜巻警報の発令基準の一つとなっている。
出典・参考文献References
- 『International Cloud Atlas』 World Meteorological Organization (WMO) 2017 — WMO 国際雲図帳 該当雲属(cumulonimbus)(2026-09-19)
- 『雲のカタログ』 村井昭夫・鵜山義晃(草思社) 2011 — 空がわかる全種分類図鑑。全雲形の写真と分類
- 『雲を愛する技術』 荒木健太郎(光文社) 2017 — 雲の生成と見分け方
- 『一般気象学』 小倉義光(東京大学出版会) 1999 — 第2版。雲と降水の物理
- 『予報用語(気象庁)』 気象庁 — 気象庁 予報用語 目次(雲・天気の用語)(2026-09-19)
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よくある質問FAQ
漏斗雲と竜巻の違いは何ですか?
漏斗雲は雲底から垂れ下がる漏斗状の雲であり、地上に達すると竜巻と呼ばれます。
漏斗雲はどのようにしてできるのですか?
積乱雲内の強い上昇気流と下降気流の境界に生じた渦が、引き伸ばされて回転を増し、気圧低下により水蒸気が凝結して形成されます。
漏斗雲を見たときはどうすればよいですか?
安全な場所から観察し、決して接近しないでください。竜巻に発達する可能性があるため、注意が必要です。
最終更新: · 編集: そらのなまえ 編集室