アスペラトゥス波状雲
高度2〜6km付近の層状雲に波状の起伏が生じ、海面のようにうねって見える雲。

- 分類
- 層積雲・高積雲の下面に現れる波状構造
- 分布
- 世界各地の空
解説Overview
アスペラトゥス波状雲は、層積雲や高積雲などの層状の雲の底面に、規則的な波状の起伏が現れた状態を指す。国際雲図帳では「アスペラトゥス」は種や変種ではなく、雲の底面が波打って見える特徴的な構造に対する呼称として扱われる。ラテン語の asperatus は「粗い」「ざらざらした」を意味し、滑らかな層雲の底とは異なる、うねった表面の印象に由来する。日本では「波状雲」の一種として説明されることが多く、英語圏では undulatus asperatus の名でも知られる。
出現高度は主に2〜6km程度で、層積雲や高積雲の下面に生じることが多い。雲の底が海面の波や砂浜のさざ波のように連続して盛り上がり、暗い色調を帯びることがある。波の間隔は数百mから数kmに及ぶこともあり、空の広い範囲を覆う場合もある。この起伏は、大気の安定層内で生じる波状の擾乱、特に風速や風向が高度とともに変化する際の不安定によって形成されると考えられている。
降水は通常伴わないか、伴っても弱い霧雨程度である。その一方で、強い風や乱気流を伴うことがあり、航空機の運航に影響を与える可能性が指摘される。また、地形の起伏や前線の通過に伴って現れることが多く、天気の変化を予兆する雲として観測されることもある。
名称としては、2009年にイギリスの雲愛好家グループ「Cloud Appreciation Society」が新種として提案したのが広く知られる。その後、世界気象機関(WMO)は2017年版の国際雲図帳において、アスペラトゥスを独立した雲種ではなく、既存の雲に付加される「補助雲」的な扱いとして記載した。日本国内では気象庁の分類に独立した名称としては存在せず、波状雲の一種として説明されることが多い。
観測の際は、雲底の波が連続して見えること、層状の雲であること、高度が2〜6km程度であることを確認する。写真に収める場合は、広角で空全体の波のパターンを捉えると特徴が分かりやすい。
伝承・史料Lore
命名の由来: 2009年、イギリスのCloud Appreciation Societyが「アスペラトゥス」を新種の雲として提案し、世界中の愛好家から観測写真が集まった。
国際雲図帳への採用: 2017年版の国際雲図帳で、アスペラトゥスは独立した雲種ではなく、雲底の波状構造を示す用語として記載された。
日本での呼称: 日本では「波状雲」の一種として扱われ、気象庁の分類に独立した名称はない。
出典・参考文献References
- 『International Cloud Atlas』 World Meteorological Organization (WMO) 2017 — WMO 国際雲図帳 該当雲属(stratocumulus)(2026-09-19)
- 『雲のカタログ』 村井昭夫・鵜山義晃(草思社) 2011 — 空がわかる全種分類図鑑。全雲形の写真と分類
- 『雲を愛する技術』 荒木健太郎(光文社) 2017 — 雲の生成と見分け方
- 『一般気象学』 小倉義光(東京大学出版会) 1999 — 第2版。雲と降水の物理
- 『予報用語(気象庁)』 気象庁 — 気象庁 予報用語 目次(雲・天気の用語)(2026-09-19)
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よくある質問FAQ
アスペラトゥス波状雲はどうやってできる?
大気の安定層内で風速や風向が高度によって変化する際に生じる波状の擾乱が、層状雲の底面に起伏を作ると考えられています。
アスペラトゥス波状雲は雨を降らせる?
通常は降水を伴いませんが、弱い霧雨程度の降水がある場合もあります。
最終更新: · 編集: そらのなまえ 編集室