塔状雲
積乱雲や積雲の上部が塔のように高く盛り上がった形状の雲で、国際雲図帳では種の一つとして分類される。

- 分類
- 積雲(種:塔状雲)
- 分布
- 世界中
解説Overview
塔状雲(とうじょううん、英: cumuliformis、略号: cuf)は、国際雲図帳(WMO)において積雲や積乱雲の「種」の一つとして記載される雲である。ラテン語の「cumulus」(積み重なった)と「forma」(形)に由来し、その名の通り、雲の上部が塔のように vertical に発達した形状を特徴とする。
この雲は、積雲(Cu)や積乱雲(Cb)の上部が特に著しく垂直方向に伸びた状態を指し、日本語では「塔状雲」のほか「塔状積雲」とも呼ばれる。気象庁の『雲の観測と分類』でも、積雲や積乱雲の変種としてではなく、種として扱われる。塔状の形状は、強い上昇気流によって形成され、雲頂が対流圏界面に達する直前の段階を示すことが多い。
塔状雲は、大気の不安定度が高いときに発生しやすい。地上付近の暖かく湿った空気が強い日射や寒冷前線などの影響で急激に上昇すると、断熱冷却によって水蒸気が凝結し、積雲が発達する。さらに上昇気流が持続すると、雲頂は次第に高くなり、塔状の形状が顕著になる。この段階ではまだ降水は地上に達していないことが多いが、さらに発達すると積乱雲へと成長し、雷雨や突風をもたらす可能性がある。
塔状雲の形状は、発達段階によって変化する。初期には小さな塔状の突起が見られるが、成長するにつれて複数の塔が融合し、巨大な積乱雲へと変貌する。また、塔状雲の頂部が風によって水平に流されると、かなとこ雲(incus)へと変化する。このため、塔状雲は積乱雲の発達過程を理解する上で重要な指標となる。
日本では、夏季の午後に発生する入道雲(積乱雲)の発達初期段階として観察されることが多く、天気予報では「大気の状態が不安定」という表現とともに言及される。塔状雲自体は降水を伴わないことが多いが、その後の発達に注意が必要である。
塔状雲という名称は、国際雲図帳の分類に基づくもので、一般には「入道雲」や「積乱雲」として認識されることが多い。しかし、気象学では発達段階を細かく分類するために、塔状雲という用語が用いられる。
観測においては、塔状雲の高さや形状を記録することで、対流の強さや今後の発達を予測する手がかりとなる。アメダスや気象レーダーと併せて、目視観測が今でも重要視されている。
塔状雲は、その名の通り塔のようにそびえる姿から、古くは「塔雲」とも呼ばれた。現代では、気象庁の分類に基づき、正式には「塔状雲」として扱われるが、一般的な認知度は低く、多くの人にとっては「入道雲」の一部として認識されている。
この雲は、積乱雲の発達段階を示す重要な指標であり、天気の急変を予測する上で観測が続けられている。
伝承・史料Lore
古来の呼称: 塔状に発達した雲は、その形から「塔雲」や「入道雲」と呼ばれ、雷神が住むという伝承がある。
観測史: 19世紀の気象学者ラルフ・アバークロンビーは、積雲の発達段階を詳細に記録し、塔状の形状を「cumulus congestus」と表現した。
文学への登場: 夏目漱石の『三四郎』には、入道雲が象徴的に描かれ、その力強さが表現されている。
出典・参考文献References
- 『International Cloud Atlas』 World Meteorological Organization (WMO) 2017 — WMO 国際雲図帳 該当雲属(altocumulus)(2026-09-19)
- 『雲のカタログ』 村井昭夫・鵜山義晃(草思社) 2011 — 空がわかる全種分類図鑑。全雲形の写真と分類
- 『雲を愛する技術』 荒木健太郎(光文社) 2017 — 雲の生成と見分け方
- 『一般気象学』 小倉義光(東京大学出版会) 1999 — 第2版。雲と降水の物理
- 『予報用語(気象庁)』 気象庁 — 気象庁 予報用語 目次(雲・天気の用語)(2026-09-19)
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よくある質問FAQ
塔状雲とは何ですか?
積雲や積乱雲の上部が塔のように高く盛り上がった形状の雲で、国際雲図帳で種として分類されています。
塔状雲はどのように発生しますか?
強い上昇気流によって発生し、大気の不安定な時に見られます。積乱雲の発達初期段階に多く見られます。
最終更新: · 編集: そらのなまえ 編集室